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漢方による勃起不全(ED)の治療について知っておきたいこと
漢方とは漢方薬を使用した治療法のことを指し、東洋医学による治療法の1つです。ED治療における分類であれば、ED治療薬は西洋医学における治療法の1つになります。
一般的な薬と同じく、医師(主に漢方医)に処方してもらった薬を服用して、体の治癒力を高めながらゆっくり治していきます。
西洋薬(一般的な薬) | 漢方薬 | |
医学体系 | 西洋医学 | 東洋医学 |
治療における考え方 | 症状を特定して原因である部位に作用させて治す | からだ全体に働きかけて治癒力を高める |
効き目について | 即効性が高く効き目も強い | 基本的にはゆっくり効いていく |
副作用について | 基本的に副作用がある | 比較的少ないが全くないわけではない |
漢方による治療は長期的な改善方法
即効性の高いED治療薬とは対照的に、漢方での治療は時間をかけてゆっくりと治療していく方法です。体の中から全身に働きかけて治癒力を高める治療法である事から、勃起不全の根本的な解決に繋がりやすいと言われています。
ED治療薬は即効性が高いと言っても、半ば無理やり勃たせている事から根本的な解決にはなりませんので、漢方での治療方法は生活習慣の見直しによる改善方法に近いと言えます。
医師の診察と処方が必要
ED治療に使用される漢方薬の入手方法ですが、市販薬ではなく処方薬のため、病院で処方してもらう必要があります。症状に合わせて薬を選ぶ必要もあるため、診察も必要になります。通販などでは入手できませんので、ご注意ください。
EDの漢方治療ができる病院は、それほど多くありません。漢方治療の受付窓口である漢方外来がなければ診察ができませんので、お住まいの地域で調べるのであれば、「漢方外来 ED 〇〇(お住いの地域)」または、「漢方内科 ED 〇〇(お住いの地域)」「漢方 病院」などで検索をかけると見つけやすいと思います。
市販薬に頼る方法もある
市販薬でも漢方薬は販売されています。漢方薬そのものは日常生活における様々な症状に対してのお薬なので、疲れ、頭痛、めまい、腰痛などに効果のある市販薬があります。
ただ、残念ながら勃起不全に対して効果が認められている市販の漢方薬はありませんので、もし市販薬で試すのであれば、勃起不全の原因に直接作用する漢方薬を選ぶといいでしょう。
例えば、ストレスや疲れに効く漢方薬などですね。ストレスや疲れは自律神経が乱れ、血管が収縮することでペニス付近の血流が悪化して、勃起力に影響がでます。市販の漢方薬でストレスや疲れが緩和できるのであれば、勃起不全対策の1つになりますね。
漢方による治療では、勃起不全は陰萎(いんい)と呼ばれますが、陰萎に対して効果に期待できる漢方薬が存在します。代表的なものを選んでみたので、市販薬を選ぶ際の参考にしてください。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

出典:ツムラ 牛車腎気丸
主に肝臓の機能を改善するための漢方薬です。
アルコールが多い方は肝機能の低下により、勃起に深く係わっているアンドロゲンという男性ホルモンの分泌が阻害されます。勃たない原因が肝機能の場合に利用されます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

出典:ツムラ 柴胡加竜骨牡蛎湯
主にストレスや精神的な疲労を改善するための漢方薬です。心配事やイライラが多い方は、ストレスにより自律神経が乱れて、体が勃たない状態になる他、血管の収縮などの症状がでます。
ストレスやプレッシャーにより勃たなくなる心因性EDが原因の場合に効果的とされています。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

出典:ツムラ 桂枝加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)と同じく、精神的な疲れやストレス、不安に対して改善効果が期待できる漢方薬です。不安や緊張によるストレスの心因性EDに効果があるとされています。
その他、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)などがあります。
漢方薬は市販薬もありますが、いずれも勃起不全(ED)が治ると認められているわけではありません。本格的に漢方での治療を行う場合は、診察を受けることをおすすめします。
医薬品のため副作用があることを理解する
漢方薬は医薬品です。市販薬ではそれほど副作用の強い薬は少ないと思いますが、処方される薬では副作用がでる場合があることも覚えておきましょう。
ED治療薬と比べればそれほど強い副作用はないと言われていますが、全くないわけではありません。診察を受ける際に、どのような副作用があるのかしっかりと確認するようにしましょう。
即効性はないため生活習慣の改善と組み合わせることが効果的
漢方による治療に即効性は期待できません。飲み続けて体の中からゆっくりと症状を緩和していく治療法です。生活習慣の見直しによる改善と近い方法なので、組み合わせることでより早く解決することができるでしょう。
勃たない原因のほとんどは加齢と生活習慣です。漢方治療を行う場合であっても、偏った食生活、不足しがちな運動、アルコールやタバコなどの嗜好品の量を見直すことが早期解決に繋がります。
漢方薬・ED治療薬・精力剤の違いについて
漢方薬 | ED治療薬 | 精力剤(サプリメント) | |
種別 | 医薬品 | 医薬品 | 健康食品 |
効果 | 治療・改善効果あり | 治療効果あり | 治療・改善効果は認められてない |
種類 | 一般的には公開されていない | バイアグラ・レビトラ・シアリス等 | 様々な種類がある |
副作用 | 少ないが副作用がある | 副作用がある | 過剰摂取をしないければ基本的に副作用はない |
漢方薬やED治療薬が医薬品に分類される事に対して、精力剤や精力サプリといった商品は、健康食品に分類されます。健康食品はお薬ではありませんので、勃起不全に対して治療効果が認められているわけではありません。
ただ、勃たない人が積極的に摂取すべき栄養素や成分が含まれていますので、原因に対する対策にはなります。
加齢によって低下する男性ホルモン生成を補助する成分や、食生活が乱れることで不足するビタミン群などは血流に影響しますので、積極的に飲むことで体の中から全身のめぐりを良くする働きがあります。
精力剤やサプリメントは飲むだけでは変化を感じにくいですが、生活習慣の見直しと合わせることで、効率の良い勃起不全対策ができます。
漢方成分を含んだ精力剤もある
精力剤のなかには漢方の成分を取り入れた商品も存在していて、よく使われる材料は、マムシ、スッポン、オットセイ、高麗人参、コブラなどがあります。
これらの材料に対する効果や効能は、滋養強壮や性欲に作用すると言われています。取り入れることで元気になり、精がつくというニュアンスなので、改善とはまた違います。
いずれにしても健康食品である精力剤に治療効果はありませんので、漢方成分の精力剤を選ぶ場合であっても、必ず生活習慣の見直しと改善も同時に行うようにしましょう。
漢方以外でEDを改善する方法
漢方以外で勃起不全(ED)を治療、改善していく方法は、主に3つあります。いずれの方法も特徴がありますので、よく理解してから実践する必要があります。
- ED治療薬による治療
- 精力剤やサプリメントに頼る方法
- 生活習慣の見直しによる根本的な改善
ED治療薬による治療
バイアグラなどのED治療薬は一時的に勃たせることはできても、原因そのものを改善できるわけではありません。あくまで、勃起を邪魔する成分を一時的に阻害することで勃たせているため、即効性はありますが、長期的に考えると改善には繋がりません。
瞬間的に勃たせたい場合や、緊張で勃たない心因性EDに対して利用価値はありますが、今後も性生活において現役でいるために改善をしていきたいのであれば、利用するべきではないと思います。
精力剤やサプリメントに頼る方法
精力剤やサプリメントは、勃たない原因である栄養不足に対しては、積極的に飲むことで不足している栄養を補うことができます。男性ホルモンの生成を手助けする栄養素を摂取することも、加齢による男性ホルモン低下を体の中から支えてくれます。
あくまで勃起不全の原因に対する対策、という位置づけで利用するようにしましょう。
生活習慣の見直しによる根本的な改善
一番効果的で改善効果も期待できる方法が、生活習慣の改善です。原因になりうる生活習慣を見直す事で、根本的な解決に繋がります。
ただし、長期的に取り組む必要があり効果をなかなか実感できないことや、生活習慣の改善が時間的にも難しいことなど、しっかりと取り組むためには難易度が高いです。
生活習慣の見直しと精力剤の組み合わせが理想的な対策方法
生活習慣の見直しは忙しい現代人にとっては実践することが難しいので、足りない部分は精力剤にサポートしてもらう事が理想的です。
完璧にする事は難しいため、生活習慣の改善を6割程度、残りの4割は精力剤に手伝ってもらう感覚でやれば、大変な生活習慣の改善も効率よく取り組むことができます。ED改善の手段としては一番おすすめしている方法なので、ぜひお試しください。
まとめ
漢方による改善方法は病院へ行き、長い時間をかけて改善していく必要があるため、根気も必要になります。
お金もかかるため大変ではありますが、根本的な改善に期待できます。50代や60代になってもセックスに対して前向きでいたいという人にとっては、試してみる価値がありますよ。
いずれの対策方法も、根っこにある部分は「健康」が目的です。生活習慣を見直して、バランスの良い食事や適度な運動をする事が、性生活においても生涯現役でいられる秘訣になるでしょう。